写真を見ているような映画だと思いました。映画は動く写真って言葉がピッタリとハマるなと。
全編を通して起承転結がほぼなく、淡々としています。
ぼーっと眺めていて、いつの間にか時間が過ぎていくんだけど、退屈さを感じさせない不思議な感覚にトリップできます。
どんなにいい写真でも流石に2時間は見てられないけど、映画ならそれができるので良いですよね。
ストーリーに起伏がなくても見れちゃう映画の条件って、僕はワンカット、ワンカットが綺麗な写真として成立している事だと思っています。
例えば30秒のカットを作るには24×30で720枚の連続写真が必要です。
良い写真を1枚撮るのも大変なのに、たったワンカットでも720枚
これが2時間だと、途方もない数の写真が必要になるので、映画を作るのって物凄く大変ですよね。
良い写真の条件って何?
構図、光、写っている人の表情、とか色々あると思うんですが、僕がこの映画で一番感動したのは光でした。
全編を通してとにかく光が綺麗!!!
おそらく自然光で撮っていると思います。
構図も狙っているようで、狙っていない、常に崩壊しかかるギリギリの所を意図的にキープし続ける、
それがイタリアの田舎の養蜂一家って素朴な生き方に見事にマッチしていると思いました。
これが逆に綺麗すぎる構図やカメラワークだと変に洒落た感じになって土臭さが無くなってしまうので、アリーチェ・ロルバケル監督は、こうしたんだと思います。
夕日や朝焼け、夏の日の午後の日差し、光が綺麗だと何気ない風景でも綺麗にみえるしノスタルジックに感じませんか?
僕も撮影では自然光を使って撮ります。照明を使わざるを得ない時でも極力、光源は小さく弱く使うようにしています。
写真展に行った事がある人や写真集が好きな人なら分かるかもしれないんですが、
異なった場所や時間、被写体の写真をまとめて写真集やポートフィリをなどにして見てみると、
不思議な事にストーリーが生まれるんです!これも映画と同じだと思います。
一枚一枚だと意味のない写真に見えても何枚もそれが集まると、ストーリーが生まれてくる。
それって色々な瞬間を切り取った時を集めると、止まってた時が動き初めてそれが映画=ストーリになっていく。
映画って時間なんですね
ゴダールやタルコスフキーなど難解な映画も写真集って感覚で観てみるとまた違った発見があるかもしれませんね!